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「キネマの神様」観ました

沢田研二

まだまだ映画館に人が戻っていない。
子供たちが夏休み中の3連休というのに、シネコンのホールには40~50人しかいなかった。そのうち「キネマの神様」の上映スクリーンに入っていったのはせいぜい20人くらい。菅田将暉のファンも多いかと思ったけど、若い人は5~6人いたくらいで、後はジュリーがお目当ての客層だったと思う。

ジュリーがひさしぶりに出演した映画という意味では楽しみではあったけど、不安要素が一つ。

私は山田洋次監督の作品をほぼ観たことがなかった。「ザ・日本映画」の世界観についていけるだろうか…

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率直な印象はやはり、志村さんに当て書きされた脚本をジュリーが志村さんに寄せて演じていたように見えた。どこからどう見てもダメ親父である役どころはハマっていたけど、見ているこちらがどこか役に入り込めなかったようなところがあった。ゴウちゃんではなく、ジュリーに見えてしまうのだ。
それは、ところどころで感じたセリフの不自然さだったかも。「この状況でそんな言い方をする?」は他の役者さんのセリフではあまり感じなかったが、ジュリーのところだけ何度か感じた。具体的なセリフは覚えていないけど、主に寺島しのぶと口論になっていたシーンで数ヶ所。もしかして、志村さんが発していたらそう不自然ではなかったのかもしれない。

良かったところ
菅田将暉が素晴らしかった。多くの話題作に出ているのにこれまで彼の演技を見たことがなかったが、引っ張りだこなのがよくわかった。決して美男子ではないが、いいヤツで、みんなに愛されていて、夢と希望と才能にあふれる若者像は菅田将暉そのもの。

北川景子もよかった。白黒の映画スクリーン越しのファーストショット。今風の顔立ちなのに昭和の大スターが放つオーラがあった。「あ、これは原節子だ」。大スターなのにスタッフや食堂の娘と打ち解ける飾らない様子は見ていてとても気持ちがよかった。

あと、テラシン野田洋次郎→小林稔侍へのトランジションがハマっていた。菅田将暉が50年経って志村けんor沢田研二のビジュアルになっていくのは無理があるけど、野田洋次郎→小林稔侍は「なんとなく面影が残っている」と感じられるキャスティングだった。野田洋次郎ありきだったのか、小林稔侍ありきだったのかが、たまたま2人の風貌が似ていたのかが気になるところ。

もう少し見たかったところ
寺島しのぶがおそらく氷河期世代で仕事に恵まれない不遇な人生であることは読み取れたが、お孫ちゃんの「まえだまえだ弟」についてはほとんど描かれていなかったから、彼がどういう子供時代を過ごしてきたのかはもう少し見たかった。おそらく引きこもりで、おそらく学校には行っていない。かといってネットやネットゲームにどっぷり浸かっている様子もない。几帳面に部屋に飾られている品々や、普段何をして部屋で過ごしているのか個人的に興味あった。

淑子は人生をかけた大勝負に出た。だが、果たしてその時、ゴウちゃんは?どれだけの覚悟を持って田舎に戻ったのか(おそらくそれほどの覚悟はなかった)、淑子の決断に何を思ったのか(おそらくやぶれかぶれ)。50年後を描く上でとても大事なところだったと思うのだけれど。

ちょっと納得がいかなかったところ
妻が近所の映画館でパートをしている。娘が映画雑誌の編集部で働いていた。孫はその映画雑誌を愛読してる。なのに、ゴウちゃんだけ映画とは無縁な世界で生きていたのは不自然すぎる。寺島しのぶに「映画があるじゃない」と言われて、「映画???」のリアクションは「なぜ今さら?」というよりも「どこからそんな思いもよらない選択肢が?」というニュアンスに聞こえた。50年の間、一度もそういう話はしてこなかったのだろうか。

人たらしでみんなから愛されていたゴウちゃんが、家族から見放されて、ギャンブルとお酒しか心の拠り所がなくなってしまった孤独な老人になってしまうだろうか。数日の間、家出をしてもケロッとして家に戻れるほど、身を寄せる場所が他にもあることを示唆しているのに、「孤独な老人」として描かれているのは少し矛盾を感じた。

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グッズ売り場には「キネマの神様」関連グッズの他に、ジュリーのブロマイドも数種類売ってた。マルベル堂は2回ほど足を運んでまとめ買いしたことがあり、いくつかすでに持っているのもあったので2枚だけ購入。

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