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ウィンナートーンの風に吹かれて 5/27大阪 トークレポ

2023-05-27
ドルチェ・アートホール Osaka

楽器店の地下に併設されているホール…というより「サロン」と言った方が良さそうな雰囲気のホール。140席+通路に補助席を設置してくださっていた。

今回のツアーは演奏予定曲が事前に発表されていて、その原曲が客入れの時に流れてる。木根さんのライブ会場にウツの声が流れているのはウツキネ担としては胸熱。

木根さんにしては珍しく7分押しで開演。
1人でやっているとはいえ、初めての会場だと勝手が違うこととかあるよね…と思ってたけど、同じ日にライブがあったべーあんはライブの合間に知らせを聞いたとブログに書いていたから、もしかしたら徹貫のことでライブの前に片づけておきたいこととかあったのかな…というのはあくまでも私の推測。

ステージ中央にピアノと少し離れたところにスツールとマイク。ハヤテくんが同行してくれているみたいだから、どこかの曲でハヤテくんがギターで参加するのかな…?

木根さん、普通のメガネで登場。

1曲目が終わって
第一声。
「あ…!お茶こぼしちゃった。。。」

(ハヤテくんがそっと回収)

普段はギターの弾き語りをしているから、いわゆるライブハウスを使わせてもらうことが多い。楽屋の壁にサインがびっしり書いてあるようなロックなところ。今回は、ピアノの弾き語りでやってみたいと思った。ファンクラブイベントでピアノを弾いたり、ツアーでも曲によってはピアノを弾いたりとかはやっていたけど、ピアノだけでツアーを回るというのはやったことがなかったから。
それともう一つ。
今回は自分の曲は全くやらなくて。作曲家として提供させてもらった曲をセルフカバーとして披露してみなさんに知ってもらいたいという思いがあって。だから今日は作曲家としてここにいるのでサングラスではなくて普通のメガネ。木根尚登でもない、TM NETWORKでもない、作曲家のおじさんです。

ピアノって自分の中ではアコースティックピアノかエレキピアノか、グランドピアノかアップライトか、ぐらいの区別しか認識していなくて。会場で用意してもらったピアノが「お!今日はスタインウェイなのか」とか思っても、弾き方を変えるとかは全くなかった。

7つ下の妹がいて、妹がピアノを習い始めてから家にピアノがあって。それを僕も何となく触るようになったのが16才くらいの頃。今年66才になるから、ピアノを弾き始めて約50年。50年もピアノを弾いてきたのにピアノとちゃんと向き合ったことがなかった。そこでピアノについて調べ始めた。ピアノには「世界三大ピアノ」があって。今日弾かせてもらっているこれが「スタインウェイ」。あと「ベヒシュタイン」と「ベーゼンドルファー」っていうメーカーがある。スタッフに「木根さん、ベーゼンドルファーは弾いたことありますよ」って言われて

「え?どこで?」
「河口湖でのファンクラブイベントで」

※河口湖円形ホールでの卒業イベント

ホント、僕はそれくらいピアノがどこのメーカーなのかは知らなくて。そんなやつがこんな会場を借りたらダメなんだけど、メーカーによって音の響きが違うってことを知った。ベーゼンドルファーは音の響きがとても柔らかいと言われていて、その独特の柔らかさが「ウィンナートーン」と言われている。その「ウィンナートーン」が素敵な響きの言葉だなと思って、これをタイトルにしよう!と。僕はフォークの人間だから、僕の好きなボブ・ディランの「風に吹かれて」にかけて「ウィンナートーンの風に吹かれて」にしようと。そこから、「今回のツアーではベーゼンドルファーを弾くことにするから、ベーゼンドルファーが置いてある会場を探して」ってスタッフにお願いして。自分の中で勝手にベーゼンドルファーに思い入れができちゃって。

ギターだとマーチンっていうメーカーにすごく思い入れがあって、思い入れがありすぎて僕はまだそのマーチンを買ってない。ウツはポーンと買っちゃったけど、僕はまだガマンしてる。「早く買わないと死んじゃうよ?」って言われているんだけど、それくらいマーチンは僕にとっての夢。ピアノにはそういう思い入れがなかった。死ぬまでにマーチンのギターとベーゼンドルファーのピアノを買おう!
でね、調べたらベーゼンドルファーのピアノ、5億するんだよ…
びっくり。
だからベーゼンドルファーを置いてる会場は日本ではほとんどない。それがわかったからメーカーにはこだわらず会場を探してもらうことに。だけど、今日のこの会場は「ウィンナートーンの風に吹かれて」のライブはこんなところでやれたらいいなとイメージしていたような会場で、、、なんて言ったら他の会場の申し訳ないけど。ここに来てからも「こんなところでやらせてもらうの?」とすごくモッタイナイ気持ち。さっき気付いたけど、拍手の音がクラシックホールで鳴るような拍手の音がする。

あてのない闇
宇都宮隆さんに書いた曲。
アレンジが浅倉大介さんで、原曲を知ってる人やさっき流れてたからわかる人もいると思うけど、すげぇカッコイイ曲。このツアーでどの曲をやるかを考えるのにいろいろな曲を聞いていて、「この曲をピアノでやるのは無理だ!」と思った。

😈「もうギターでやればいいんじゃない?」
👼「でももうピアノでやるって言っちゃったし」
の間で葛藤。
😈「いいんだよ、ギターでやれば」
👼「頑張ってピアノでやろうよ」

(イントロ弾き始めるが、歌に入るところで演奏を止めちゃう)

だからね!
これ(リリース年や作詞の人など曲についての資料)をここ(譜面台)に置いちゃうとダメなんだよ。歌えないんだよ。もう~!これをやらないようずっと気を付けてたのに~!これは横に置いておかないといけないのに。

つきのひかり
「月の光」というと有名なのはドビュッシー。
ドビュッシーはベーゼンドルファーのピアノを好んで弾いていたと言われていて、ベーゼンドルファーを弾いていなかったら「月の光」は生まれなかったんじゃないかって言われている。それくらいメーカーによって音が違う。ベーゼンドルファーの音は優しい。今日弾いてるこのスタンウェイは音が強いから、スタンウェイで曲を作っていたら「月の光」はもっと何か激しい「太陽の光」みたいな曲ができていたかもしれない。

恋と愛の距離
女優・田中裕子さんの曲。作詞は来生えつこさん、プロデュースが沢田研二さん。
沢田研二さん初めてのプロデュース作品で田中裕子さんの初めてのアルバム。渡辺プロの人から「バラードを1曲書いてもらえませんか」というお話をいただいて。リリースされたのがちょうどご結婚された頃だったから、たった1曲書いただけなのに、事務所に沢田研二さんと田中裕子さんの結婚式の招待状が届いて。「いやいやいやいやいや、無理無理無理無理無理」と思ってたんだけど、周りの誰に聞いても「こんなことは一生ないから絶対に行った方がいい」って言われて。人見知りだし、丸テーブルで誰と一緒になるか不安で。そしたら、ちょうど1週間前にテレビの収録で一緒になって仲良くなった吉川晃司くんが隣で。「知ってる人がいてよかった!」「僕もですよ!」って。あとは大沢誉志幸さん、竹内まりやさんと達郎さん、ワイルドワンズ。そんなテーブルでした。
終わって帰る時に新郎新婦がお見送りしてくれるでしょ。曲の依頼なんて、スタッフを通してやってるだろうから名前なんて覚えてないだろうし、会ったことないから顔と名前も一致してないだろうと思ってたのに、ジュリーが「田中にとても素敵な曲を書いていただいて、ありがとうございました」って言ってくれて。この言葉は人生の宝物の1つ。小学校4年生の時に男の子なのにジュリーのポスター貼ってたもん。それくらい好きだったから。
来月、さいたまスーパーアリーナにライブを観に行きます。

ピアノとの関わり
(スツールに移動)

すでに散々しゃべってるのに、ここから少しトークコーナー。
もう1ヶ月くらいツアーを回っていますけど、ぶっちゃけこんな企画立てなければよかったな…と。ギターの弾き語りでよかったのに。なんで、わざわざこっちに移動してしゃべってるかというと、ピアノの前でしゃべってると曲の話になった時に知らないくせに弾こうとするし、歌おうとするし、それで時間を食っちゃうから楽器を持たずにしゃべることにした。

家にピアノがあったから何となく弾くようになって、左手で和音を押さえて、右でメロディを弾いてみたらピアノが弾ける人になったような感じがあって。学校のピアノでも弾いてみたら「スゲェ!」って言われるようになって。中学生くらいからはギターに興味が移って。雑誌に載ってた「コードの押さえ方」みたいなのを頼りに少しずつコードを覚えていって、そしたらピアノのコードの押さえ方が載ってた時があって「ギターと同じじゃん」と思って少しずつピアノのコードも覚えていって。あの頃、ピアノが弾ける人があまりいなくて、ロックバンドで鍵盤を弾いてたのは大抵クラシックのピアノを習ってたことがある女の子だった。「木根、ピアノ弾けるんなら今度ツェッペリンやるから手伝って」って言われて練習するようになって。そこから独学だったけどキーボードが面白くなって、オルガンを買ったり、電子ピアノを買ったり。スピードウェイでデビューした時もキーボードだった。TMも最初はキーボード2人とボーカルのバンドだったから、「こんな編成は他にないよね」ってことで始まったのに、デビューが決まったら「木根、ギター弾いてよ」って。「フォークギターしか弾けないよ?」って言ったのに「いいよ、ぶら下げておけば」でエアギターが始まった。でもピアノは好きだから「ここは木根がピアノ弾いて」って言われたところではTMでもずっと弾いてきた。
そんな風に独学でやってきたのに何が「ウィナートーン」だよって話。ちょっと後悔してる。1曲1曲が発表会みたい。2ヶ月くらい前から練習を始めて、ただ弾くだけなら何とか弾けるようになってきたけど歌いながら弾くのは大変。誰かが歌ってくれるならいくらでも弾ける。

譜割り
人に書いた曲はあげた時点でその人のものだから、ちゃんとやらないといけない意識がある。アレンジや歌もできるだけ出来上がった作品に近い形でやらなきゃと思う。自分の曲だとちょっとくらい違ってたっていいやって思うんだけど。そもそも、曲を作って渡して、完成されたものを聞かせてもらうと、だいたいいつも何か違うことが多い。譜割りとか。TMでも譜割りは作りながら歌いやすいように変えていくものだから、僕は最初に曲を渡す時はできるだけ作り込まずにシンプルな譜割りで渡すようにしてる。作ったものと出来上がったものとで譜割りが変わってることが多いから、そこも歌うのを難しくしてる。どの曲も出来上がりはすごくカッコよくなってるんだけどね。

カーペンターズ
この企画を考えてる時にカーペンターズの作曲をしていたバート・バカラックさんが亡くなって。追悼でカーペンターズをやろうかなと思ってたところでBSでやってたバート・バカラックさんのコンサートを見て、50年くらい前に宇都宮くんと2人での音楽を始めた頃にライブやオーディションでカーペンターズをやっていたこともあったし、よし!2日続けて公演がある時は日替わりでできるようにカーペンターズの「イエスタディ・ワンス・モア」と「スーパースター」をやろう!と。それで張り切って仙台からずっとやってきたんですけど、途中である事に気付いた。「スーパースター」はバート・バカラックさんの曲じゃなかったんだよね。

👼「バカラックさんの追悼なんだから、バカラックさんが作った曲でやらなきゃダメ」
😈「もういいじゃん。その『スーパースター』を作った人ももう死んでるんでしょ?」

氷川くん
氷川くんとはもう25年くらいのお付き合い。ご自宅にお邪魔することもあって、ASAYANをすごく好きで見てたみたいで、TKファミリーのCDや僕のRemember meのCDも持ってくれていて、「木根さんに曲を書いてもらうのが夢です」って言ってくれていて。「じゃ、いつかね」って。というのも、氷川くんはオーディションが受かったのが演歌の事務所で。演歌を歌うならデビューさせるという条件で、契約書にも演歌しか歌えないことが書かれてた。それが、何年も頑張ってきたからファンクラブイベントだったら好きな曲を歌ってもいいよってなった時に「CDにはならないですけど、ファンクラブイベントでなら歌っていいって許可が出たので曲を書いてもらえないですか?」とお願いされて最初に書いた曲が「hug」。それから演歌じゃない曲のリリースも解禁になって、いろんな人のいろんな歌を歌うようになって、最初にポップスだけのアルバムを作った時に「hug」を入れてもらった。2枚目のYou are youを作る時には僕のRESETやTMの曲をカバーしたいって言ってくれて。「小室さんOKくれますかね?」って気にしてた。「ダメって言わせないよ!」。ボーカルディレクションをやってほしいって言ってくれたんだけど、めちゃくちゃ歌うまいからディレクションなんていらないんだよね。どんなジャンルも歌えるし、高いキーも出るからSEVEN DAYS WARもウツより1音上で歌ってる。

氷川くんは僕にLINEで詞を送ってくる。You are youもそうだったし、今も続いてる。すごく長い詞をLINEで送ってくれて、それに僕が曲をつける。一度、事務所の人からも詞を渡されたことがあって。漫画家のヤマザキマリさんに書いてもらった詞。音楽の人じゃないから詞も全然揃ってないし、「長くて難しいから誰も曲を付けられなくて3年くらい眠ってる詞なんです。お願いします」。よし!じゃ俺が何とかしてやろうじゃないの!と燃えちゃって、シャンソンのような曲を付けた「生まれてきたら愛すればいい」という曲も入っているのでよかったら聞いてください。アレンジがnishi-kenで、ギターがよっちゃんで、宇都宮さんのところがお世話になってるミュージシャンとスタッフをお借りして作りました。今日初めて氷川くんの曲を聞いた人には氷川くん本人が歌っている曲をぜひ聞いてほしい。めちゃくちゃうまいので。いつか僕のライブに来て歌ってほしいなー。

SKE48
次の曲はSKE48の曲。
秋元さんから依頼を受けた小室哲哉さんがSKE48のプロデュースをすることになって。楽曲数が多かったから僕にも何曲か書いてほしいと依頼が来て。とにかく時間がなかったからSKE関係の人から「書き下ろしじゃなくてストックでもいいのでいただけませんか?」って言われて。
「何曲くらい渡せばいい?」
「あの…あればあるほどいいのでください」
「あればあるほど…?」
曲を作っても採用されない方が多いからストックはたくさんある。坂上忍さんの舞台に出させてもらってた頃、劇中歌もやらせてもらってたから曲をたくさん作ってた時のストックがあったり、デビューすることになったグループの曲を何曲かお願いしますという依頼がレコード会社経由であって作ったけど、その子たちのデビューがなくなったから行き場がなくなって残ってた曲とかがあったりして10曲くらい渡したら半分くらいが採用。アレンジはめちゃくちゃ変わってて「これ、俺の曲!?」みたいな曲も出来上がってきた。そのうちの1曲がそのSKEの公演で最後に歌ってる曲らしくて「YouTubeにあがってますよ」って教えてもらって見たら、女の子たちが汗びっしょりになりながらみんなで歌ってくれていてグッと来た。小室哲哉さんと藤井徹貫さんの詞もとてもいい。

オジサンが女性アイドルの曲を歌う
ハタチの女の子がフィフティーンの頃の気持ちを思い出してる曲を65才のオジサンが歌うってどうなんでしょう。女の子たちのラブソングは歌いながらふと我に返るととても恥ずかしくなる。今回のツアーは演奏もあるから恥ずかしがってるヒマはないけど。

伴奏者導入スタイル
バート・バカラックさんのライブを見た時に、オーケストラが演奏してくれたり、ボーカルの人が出てくるのを見て「これいいな!」と思った。小室さんが最近やってるのもこれに近いよね。自分の曲は自分で歌ってたけど、安室ちゃんの曲は歌う人が出てきてた。あれイイ!いつかやろう。曲の演奏も誰か他の人にやってもらって、俺は横に座って、曲の紹介とかその時のエピソードとかを話していくライブをいつかやりたい。

さくらの花の咲くころに
1つ自慢話していい?
音楽プロデューサーでアレンジャーの亀田誠治さんに声をかけられたことがあって、「僕、自分の中のBEST1位の曲って若い時からずっと不動の1位で、それが『さくらの花の咲くころに』なんです」って言ってもらったことがある。びっくりして思わず握手しちゃって。今でも時々思い返して、あれは夢だったんじゃないかとよく思う。

アンコール
✨サングラスに替えて登場✨
サングラスがいいっていう声もあるんですよ。

会場:シティーハンターの木根さん、カッコよかった!

ありがとう、ホント恥ずかしい。スタッフから「木根さんが一番カッコイイんじゃないですか!?」って言われて。え?それって「木根さんが一番違うんじゃないですか?」ってことなんじゃないの?昔から絵の上手なファンの方からは美少年な3人のイラストを手紙とかに描いてもらったりして、よくキュンってなってた。これサングラスしてるから俺なんだろうけど、誰???みたいな。あの感覚をひさしぶりに味わった気がする。あのイラスト、カッコイイよね。俺もアニメの世界に入ったらあんな風にカッコよくなれるってことなんだろうし、あれのイメージもあるからちょっとカッコイイ姿も見てもらっておこうと思ってサングラスにしたのもある。

セットリスト

木根さん公式がSpotifyに今回の演奏曲をプレイリストで公開してます。

M1 嵐のち晴れ(椎名へきる)作詞:田中花乃
M2 あてのない闇(宇都宮隆)作詞:西尾佐栄子、編曲:浅倉大介
M3 つきのひかり(寿美奈子)作詞:星村麻衣
M4 あしたの私に会いに来て(鈴木あみ)作詞:小室みつ子
M5 恋と愛の距離(田中裕子)作詞:来生えつこ
M6 イエスタディ・ワンス・モア(カーペンターズ)
M7 You are you(氷川きよし)作詞:Kii
M8 マイ・ドリーム(SKE48)作詞:小室哲哉・藤井徹貫
M9 永遠より長いキス(日置明子)作詞:吉元由美
M10 雨が雪に変わった夜に(浅香唯)作詞:麻生圭子
M11 No Side(渡辺美里)作詞:渡辺美里
M12 さくらの花の咲くころに(渡辺美里)作詞:渡辺美里
EC1 桜が丘(木根尚登)*歌なしピアノ演奏のみ 作詞:木根尚登

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