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2001-12-02「ええ男」

M「危険はふたり」

ABCラジオでお送りしている「沢田研二のそんなんこんなん」。
男なら、「ええ男やねぇ」と言われたいな、と子供心に思いましたね。
最初にやっぱり「ああ、ええ男やな」と思ったんは、やっぱり父親ですかね。
物心ついた時から親父のあぐらかいてる中にスッポリ入ってですね、
タバコ臭かったり、ほっぺたにチクチクッと頬ずりされたりするとヒゲが・・・
「ああ、お父ちゃんや」みたいな。
やっぱり一番最初にホレるのは父親なのかもしれませんが。
その範囲がだんだんだんだん家の中から、だんだん近所の兄ちゃんに。
やっぱり子供心にはね、
しちゃあいけないって母親に言われていることをする人っていうのがいいよね。
「あそこの空き地入っちゃいけません」って言われてるのに入っていかはんのよ。
で、その中で住み家みたいなのを作っててね、隠れ家っていうんですか。
そこで「おい、ここで待ってたらアベック来よんねん」なんてね(笑)
僕はスケベなことが好きでしたね、子供の頃から。

僕は人より秀でてるっていうは・・・そうやね・・・駆けっこ。
小学校で一番速かったんですよ。
ところが中学に入ると僕より速いのがようけおって、ダメになったんですけど。
運動会が楽しみでね。
・・・大学。
大学行ってる人には憧れたね。
僕の2つ上にね、僕の兄と同級生にね、上田正樹のお兄さんがいたんですよ。
あの「悲しい色やね」のよ。
その上田正樹のお兄さん。
あの人がいつも僕をパチンコ屋に連れて行くのよ。
くわえタバコでね、今みたいに手で押さえてたらいいだけちゃうから
自分で手で1コずつ入れていくんよ。
これが速いんのよ。
パチコン!パチコン!って。
入れながら打つ、連弾っていうんですけど。
これがうまいわけですよ。
ところが、時々落とさはんねん。
その落としたヤツを僕が拾ろてきて。
で、マー坊っていうんですけどね。
こうマー坊に渡すと
「おい、ブン吉。お前パチンコ屋ずーっと回って拾ろてこい」と
いうわけですよ。
なんで僕がブン吉かっていうのが、よくわからないでしょ?
ジュリーと言われた、沢田研二と言われた男ですけど、なる前は普通なんやから。
普通の「けんちゃん」や、僕なんかはね(笑)
その「けんちゃん」って名前があるのにですよ、そのマー坊さんはですよ、
僕のことを「ブン吉」と呼ぶわけよ。
「子分」なわけよね。
で、1周回って10コくらい拾えるの。
「それでお前やれ」って言われて、その横でやってて、
1回でもビャーンと入ると「おい貸せ」って言われんの。
全部取られるんのよ。
そんな感じでしたね。
そのマー坊の知り合いに同志社大学のアメフト部の人がいて、
アメリカンフットボールですよ。
僕ら、子供の頃にそんなもんがあるなんて知らなかったもん。
それで「おい、お前ちょっとバーに連れていったろ」とか言われてね、
そういうとこ連れていってくれると僕はうれしかったね。
どうしても、その、男らしさというんじゃないだけど、
お母ちゃんがそんなとこ行ったらアカン、したらアカンというてることを
平気でしてはる兄ちゃんはカッコよかったね。
かといって、そういう人たちみたいになりたい、ということじゃないんやけど
子供心に憧れるという・・・憧れですかね、これは。
不良っぽいということなのかなぁ。
まぁ、こうしていろいろ話してると、ボロが出そうなんですけどね(苦笑)
ボロはボロで出たらええねん、と思ってしゃっべってるんですけどね。
ちょっとこの辺で1曲聞いていただきます。
若い頃、僕はまだまだ青かった。
「晴れのちBLUE BOY」です。

M2「晴れのちBLUE BOY」

ええ男っていうのはね、なろうと思ってなれるもんでもないと思うんやけど
努力してなれるタイプの人がいるかもしれないね。
で、努力しないで
「ええねんええねん、ワシはそんなん人がどう思おうとええねん」って
人がどう見るかを気にしない人がカッコよく見えることもあるかもしれないね。
意識してなれる人と、意識せんでもなれる人がいるんかなと思ったりもするんですが。
ガキは男じゃないと。
生まれた時から性別はあるんですけど、男扱いされないわけでしょ、
ガキの時分はね。
自分でこう思いたいやんか、こう「大人になったなぁ」と。
どういう時かなぁ・・・人よりも頭一つ出た感覚ってあるじゃない?
人と違うことをしてる、大人っぽい・・・
これはやっぱり「大人っぽい」だろうな。
「男っぽい」とは違うな。
大人っぽいことをした時。
どんな時かというと背広をあつらえた時。
その時まだ中学ですよ、中学。
中学で背広あつらえてんねん。
あ、思い出したわ。
僕ねぇ、こうハデそうに見えるでしょ?僕。
ホントに地味な男やったんですよ。
休み時間でも誰かと話すっていうのが、不得手でね。
誰も誘ってくれへんとね、誰も見てない窓の外を見てるっていうね、
それが見ようによっちゃ「陰のある人」と見えたかもしれへんけど、
俺が勝手に思ってるだけかもしんないんですけどね(苦笑)
で、モテたかって言われるとそんなにモテてないのよ。
この男がですよ、人に誘われて背広作ったりしてるわけですよ。
で、「河原町行こ」って。
肩イカらせてね。・・・っぽいことはしてたね。
だから今から考えると「っぽい」ことなのよ。
50を過ぎてから思うと「そんなんは男らしいことじゃない!って思う。
青いなって思うんやけどね。
嫁さんや家族に「あんたは大丈夫。ええ男や」って言われると
生きていけるものなのよ。
それを「ウチのお父ちゃんはアカン」って言うてると
それを聞いてる子供も「ウチのお父ちゃんはアカン」って
なってくるわけやからね。
だからも「粗大ゴミ」とかいうたらアカンのよ。
せめて家族だけでも「お父ちゃんはエライ!」と言うてあげてみてくださいよ。
そしたら、ええ男になるのよ。
頭で考えてできることやないのよ、ええ男になるっていうのは。
どっかでサジを投げつつーの、どっかでクッと握るとこは握ってーの、
その塩加減って言うんですか、塩梅って言うんですか、
差し引きって言うんですか、
これは経験を重ねていろんな失敗をしていかないとわからへんのよ。
失敗をしてない人っていうのはアカンよ、
痛い思いしてない人っていうのはアカンよ。
失敗をしてるっていうことは、それが一つずつ勇気に変わっていくってことなんや
これで心臓に1本ずつ毛、生えてくるんやから。
失敗をすることで、「ああ、痛い」って。
心臓にもともと毛が生えてる人なんていない。
だんだんだんだん生えんねん。
僕だってそうですよ、今はもうボーボーですよ。
心臓に剛毛が生えてますけどね(笑)
・・・それではここで1曲聞いてください。
1971年の僕の初のソロシングル。
30年前ですよ~・・・ 「君をのせて」

M3「君をのせて」
ABCラジオでお送りしている「沢田研二のそんなんこんなん」。
さて「いい男」。
難しいよねぇ。。。
女の人から見ていい男っていうのと、
男の人から見ていい男っていうのと、
両方から見ていい男っていうのといろいろあると思うんですけど。
僕なんかが最近思うのは・・・よくあるやん「抱かれたい男ベスト10」とか。
だいたい男っていうのは、40過ぎたらその範疇には入らへんと思ってんのね。
僕は思うんやけど、「ええ男」っていう範疇が広がってる。
昔はもっと門が狭かったよ。
あとね、僕が確かに言えることは、神様は一つとして同じ人間を作ってないのよ。
この違うっていうのを、最大限利用しようと思ったほうがええんやろな、と
僕は思うよ。
みんながみんな個人を大事にするようになるとね
そっちの自分の好きな方へ行けるようになると思うよね。
あと1点ね、努力してやらなあかんこともあるな。
料理・洗濯・掃除。
男もね、これからはやらなあかんねん。
40過ぎたらやらなあかん。
これは絶対やらなあかん。
40過ぎたら男は料理・洗濯・掃除、全部自分でできなあかん。
下着をたためるようにならんと。
引き出しにバンッと突っ込んだらあかんねん。
ちゃんとたたんで入れなさい。
タンスのどこに何が入ってるか、それこそお母ちゃんの分までよ、
子供の分まで覚えなあかんのよ、どこに何が入ってるか。
料理し終わって、鍋はどこに入ってる、何がどこにある、
ちゃんと覚えなあかんねん。
それが何でかっていうと、一番そばにいる人間を大事にせなあかんねん。
家族やないの、それをおろそかにしてどうすんの?ってことやな。
知ってて損はせえへんねんから、知らんでもええこともあるけれども
無理をしないで入ってくるものはどんどん入れて、
出ていくもんはまぁええか、と。
そういう感じなのかなぁ。
言うてることわかる?わかる?
そんなん料理教室行って覚えることやないのよ。
料理なんてものは、嫁はんに教わったらええの。
嫁はんがやってるのを見てたらええねん。
そうやってお金かけてできることと、
お金かけんとできることがいっぱいあんのよ。
そりゃスポーツクラブ行ってベルトの上を走ってるよりも、2人で台所でね・・・
それは私の話かってことなんですけど・・・(テレッ)
これどうやって作るのん?って、どんだけ水入れんのん?
とかやってるとええのよ。
幸せに暮らしてると、よそから見ても何となく
イヤじゃない風になるんじゃないの?
・・・なんて思ったりしてるんですけどね。
それだけじゃないか。
難しいな。

CM

「沢田研二のそんなんこんなん」。 もうお別れの時間です。
言い足らんことはないかな・・・?
言うてしまうとね、ええ男でも何でも生きていけるって(苦笑)
まずそれを捨てることかもしらん!
その「ええ男になりたい」って欲を。
これがまた難しい。

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